“昨日も話したよ”と言われる理由|HSPと強迫性で記憶力が高い人の特徴

繊細さと強迫性により記憶力が高い妻の特徴を表現した、やわらかな光とコーヒーカップのある落ち着いたアイキャッチ画像 日常の気づき
繊細さと確認の積み重ねが、記憶として残っていく。そんな日常の気づきを切り取った一枚。

うちの妻は、少し不思議なくらい、記憶力がいい。

些細なことをよく覚えている。たとえば「あの話、もうしたよ」「昨日、ちゃんと説明したじゃない」──そう言われるたびに、ぼくは「えっ、そうだったっけ?」と頭をかいている。

「なんでそんなに覚えてるの?」と戸惑ったことがある人もいるかもしれない。

最初は、ぼくもそうだった。ただ不思議だなと思っていた。でも妻を近くで見てきたいま、少しずつその理由が見えてきた気がする。

妻は光にも音にも敏感で、些細なことを注意深く観察する。
それと同時に、何度も確認しないと不安になるようなところもあって、いわゆる強迫性障害と付き合いながら日々を過ごしている。

だからこそ、同じことを何度も確かめるうちに、自然と記憶に残っていく。
特に「これ伝えなきゃ」と思ったことは、自分の中で「ちゃんと伝えた」と思えるまで確認するから、しっかり覚えているのかもしれない。

そんな妻にとって「覚えていること」は、単なる記憶力の話ではなく、安心するための手がかりになっているように感じている。

この記事では、そんな妻のそばにいるぼくが気づいたことを、そのまま書いてみようと思う。

妻の「覚えてる」が、ちょっと違う次元の話

妻が覚えているのは、大事な約束や記念日だけじゃない。

先週の夕飯に何を食べたか。どんな順番で話が進んだか。あのとき窓が開いていたか閉まっていたか。──ぼくがとっくに忘れているような細部を、妻はすらすらと思い出せる。

「昨日、私が説明したこと、覚えてる?」
「あなたの耳に、私の声が届いていないのね」

そう言われると、思わず反省するけれど、正直なところ「そこまで覚えてるの?」と驚くことも多い。

ぼくが観察してきてわかったのは、妻が覚えているのは”意識して記憶しようとした”からじゃないということだ。

光・音・空気感・表情・言葉のトーン──そういったものを五感全体で受け取っているから、記憶に刻まれやすいのだと思う。

HSPの人はなぜ記憶力がいいのか?

妻を見ていて感じるのは、「記憶力がいい」というよりも、「受け取っている情報量が多い」ということだ。

光の強さや変化、音の種類や距離感、相手の声のトーンや表情の微妙な違い。そういった情報が、常に自然と頭の中に入ってきている。

外からの刺激を多く受け取るぶん、「何が起きているのか」を把握しようとする意識も強くなる。その結果として、細かな出来事まで記憶に残りやすくなるのだと思う。

さらに妻には、「本当にそうだったか」を何度も確認したくなる傾向もある。

「昨日もそう言ったよね?」
「さっきも同じ話、したよね?」

こうした確認は、相手を責めたいわけではなく、不安を落ち着かせるための行動だと、いまでは理解している。

繊細さと確認の積み重ねが、「覚えていること=安心」という状態をつくっている。

だからこそ、記憶力の良さは、単なる能力ではなく、その人なりの”安心の作り方”なのかもしれない。

「覚えていない」ぼく側の問題と、妻の疲れ

ぼくが「そんな話、したっけ?」と言うたびに、妻は少しガッカリした顔をする。

以前は、「なんでそんなに気にするの?」と思っていた。でも今は、そうは思わない。

妻からすれば、「ちゃんと話した」「ちゃんと伝えた」という記憶がある。それなのに、それが相手に残っていない。

それはきっと、「自分の言葉が届いていない」と感じることでもあり、「自分の存在が軽く扱われた」と感じることに近いのだと思う。

一方で、妻自身も大変だろうと感じる。

あれほど細かく記憶していれば、頭の中は常に情報で満たされているはずだ。光にも音にも気を張り、細部まで観察し、何度も確認する。それを毎日繰り返していたら、疲れないほうがおかしい。

妻が「疲れやすい」のは、意志の弱さでも体力の問題でもなく、単純に受け取っている情報量が多すぎるからなのだと、ぼくは思っている。

夫として、少し意識していること

完璧な対応なんてできないけれど、少しだけ意識を変えてみた。

まず、「そんな話、したっけ?」をできるだけ言わないようにした。たとえ覚えていなくても、「ごめん、もう一度教えてもらえる?」と伝える。

それだけで、妻の反応はずいぶんやわらかくなった。

それから、妻が「確認」してくるときに、「もういいじゃん」と返さないようにした。

確認は、不安を落ち着かせるための行動だ。だから、「そうだよ、大丈夫だよ」と一言添えるだけで、妻の表情が少し緩む。

あとは、意識的に「何も考えなくていい時間」をつくるようにした。

光も音も少ない、静かな時間。そういう時間があると、妻は少しずつ落ち着いていく。

ほんの小さなことだけど、積み重なると、ふたりの空気は確実に変わっていく。

まとめ──記憶力の良さは、繊細さの裏返し

妻の記憶力が良いのは、特別な才能というよりも、繊細な気質と確認の積み重ねが生んだものなのだと思う。

「また忘れてる」と言われると、ぼくも反省する。でも同時に、妻がどれだけ多くのものを受け取り、どれだけ丁寧に日常を過ごしているのか──そのことに、少し尊敬に近い気持ちを持つようになった。

繊細な人は、疲れやすい。
でもそれは、世界をしっかり感じ取っているということでもある。

心が少しでも休まる時間や習慣が増えていくといいなと、夫として思いながら、今日もそばにいる。

すべての人に当てはまるわけではないけれど、もし同じように「記憶」と「繊細さ」に悩んでいる方がいたら、少しだけ見方を変えるヒントになれば嬉しい。

そして、「刺激を減らす」という視点も、ひとつのヒントになるのかもしれない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました