娘のことだから、そんなに簡単に割り切れない

食卓に少し離れて置かれた二つのカップと、伏せたスマートフォン 日常の気づき

仕事中、妻ちゃんから長いLINEが届きました。

「私の中でかかえきれん?なと」

娘ちゃんのことで、気になることがあったようです。メッセージには、目にしたものや、前から心配していたことが続けて書かれていました。気持ちが悪くなった、とも。

娘ちゃんに何か言いたいというだけでなく、妻ちゃん自身がしんどくなっている。僕には、そんなふうに読めました。

ゴルフウエアを見て、気になったこと

きっかけは、娘ちゃんの部屋にあったゴルフウエアでした。妻ちゃんのLINEによると、上着にアウター、スカート。どれも一万円を超えていて、合わせると三万円以上になるとのことでした。

ゴルフウエアとしては、そのくらいするものだと僕は思います。ただ、それを見て妻ちゃんが引っかかった背景には、普段の暮らしがあります。

娘ちゃんは、自宅から大学に通っています。大学生のうちに、やりたいことは全部やっておきたい。そんな気持ちで過ごしていて、ついこの間も海外旅行に行っていました。

夜遅くまでアルバイトをして、やりたいことにもお金を使っています。一方で、普段はお金がないとも言っています。僕や妻ちゃんが親として何かを勧めたり、助言したりした時にも、「お金がないからできない」と返ってくることがあります。

学費は、僕たち親が出しています。家にいる時は一緒にご飯を食べ、洗濯は妻ちゃんがしています。

僕は、恵まれた環境だと思います。娘ちゃんが自分で働いていることも、やりたいことがあるのも分かります。でも、その暮らしを僕たちも支えている中で「お金がないからできない」と言われると、僕にも引っかかるものがあります。

そんな日々の中で、三万円を超えるウエアが、家にぽんと置いてある。

このお金は、どうしたんだろう。ウエアがあるということは、ラウンドに行くつもりなのだろうか。その費用は、どうするんだろう。

実際にどうやって手に入れたのか、ラウンドの予定があるのかは、まだ分かりません。娘ちゃんにも、聞いてみないと分からない事情があります。

僕には、普段の「お金がない」という言葉も重なりました。妻ちゃんのLINEには、日々節約している自分との違いについても書かれていました。

お金のことだけではありません。娘ちゃんは自分の予定に合わせて寝て、起きて、ご飯を食べて、出かけていきます。僕たちから見ると、家族の生活リズムに合わせることはあまりありません。

一緒に暮らす中で、そうしたことが少しずつ積み重なっています。

応援したい。でも、受け止めきれない

娘ちゃんは、妻ちゃんとは別の人間です。何を楽しみにして、何にお金を使いたいか。親子でも、考え方は違います。

でも、「別の人間だから」と言えば、それで割り切れるわけでもないのでしょう。自分の娘ですし、その暮らしは僕たちの生活にも関わっています。

妻ちゃんにも、娘ちゃんのやりたいことを応援したい気持ちはあると思います。その一方で、今の行動には納得できないところがある。見ていると心配になり、自分もしんどくなる。

妻ちゃんは日々、いろいろなところで影響を受けていますが、娘ちゃんから受けるものは、ほかとは少し質が違うように感じます。

大切な娘だから、理解したい。受け止めたい。そこに「母親なのだから、受け止めなければ」という思いもあるのだろうか。

これは、僕の想像です。妻ちゃんから、そう聞いたわけではありません。

娘ちゃんを応援することと、今の暮らし方をそのまま受け入れることは、僕にとっても別です。

「気にするな」とは、簡単に言えない

HSPの妻ちゃんと暮らしていて、周りの環境から受ける影響の大きさについて考えることがあります。

僕から見ると、妻ちゃんは、気にするかどうかを決めるより先に、影響を受けてしまう人です。目に入ったものや聞こえた言葉で、もう気持ちが動いている。

今回も、娘ちゃんに何かを直接言われたわけではなく、その暮らしぶりを目にしたところから、いくつもの気がかりが浮かんできたようでした。

そんな妻ちゃんに、僕は簡単に「気にするな」とは言えません。

気にしないようにしようとすると、今度は、すでにある自分の気持ちを抑えようとすることになる。気になっているのに、気にしてはいけない。その努力まで、妻ちゃんの負担になっているように見えます。

もちろん、今回のしんどさを、HSPという言葉だけで説明することはできません。親としての心配もありますし、日々の生活の中で実際に引っかかることもあります。体調とのつながりも、僕には分かりません。

同じ家で暮らしていれば、娘ちゃんの生活は自然と目に入ります。そのたびに妻ちゃん一人が気にしないように努める、というのも難しい話だと思います。

話したい相手にも、気を使う

今回のLINEは、こんな書き出しでした。

「連休明け仕事中に🙏」

妻ちゃんも、僕が仕事をしていることは分かっています。この短い書き出しからも、仕事中に連絡することへの遠慮が感じられました。

話したい。でも、仕事の邪魔はしたくない。そんなためらいも、しんどさに重なっていたのかもしれません。

娘ちゃんのことで、すでに気持ちがいっぱいになっている。そのうえ、誰かに話さずにいようとすることまで負担になっていたのだろうか。僕は、そんなふうに想像しています。

相談したかったのか、ただ聞いてほしかったのか。それとも、行き場のない気持ちが、僕に向かって出てきたのか。どれか一つには決められません。

娘ちゃんのお金の使い方や、一緒に暮らすうえで気になっていることは、話していく必要があると思います。でも、その答えが出るまで、今の妻ちゃんのしんどさも待ってくれるわけではないのでしょう。

僕にも仕事があって、その場ですべてを受け止めたり、すぐに返事をしたりできるとは限りません。娘ちゃんについて聞かれても、答えが出せないこともあります。

「私の中でかかえきれん?なと」

娘ちゃんのことをどうするかは、すぐには答えが出ません。でも、LINEにはこの言葉がありました。

娘ちゃんの話と一緒に、妻ちゃん自身のしんどさが届いていたのだと思います。

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